生産性が高く、業績を伸ばしている企業の共通点・・・最近では、「全員経営」「エンゲージメント」などという言葉をよく耳にします。

社員がただ言われた仕事をやるのではなく、自発的かつ主体的に自分自身の力を発揮する・・・これを実現する一つのツールとして、経営の透明性を高めていく“オープンブック・マネジメント”が注目されています。

このオープンブック・マネジメントに関する記事が、先日、ヤフーニュースに掲載されました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190204-00010000-ffield-bus_all

オープンブック・マネジメントとは

オープンブックとは、決算書や財務情報を含めた各種経営情報を、社員全員に公開してガラス張りにするということです。しかし、単にブック(帳簿)やデータをオープン(公開)しただけでは、機能しません。

オープンブック・マネジメントでは、社員がビジネス・リテラシーやファイナンシャル・リテラシーを身に着けるとともに、自分事と捉えて積極的に業務参画できるような工夫、また、目標を達成した際に全社員で業績に応じた報奨金(業績連動賞与)をもらうプロフィットシェアの仕組みなどの経営手法が加わっています。

もともと、1990年ごろから米国で提唱されてきたオープンブック・マネジメントですが、最近では日本の会社でも導入事例が増えてきており、会社の中には帳簿にとどまらず、各社員の個別給与まで全社員に公開している会社もあります。

なぜ、オープンブック・マネジメントで業績が上がるのか?

オープンブック・マネジメントを上手に活かしている会社の方々のお話を伺うと、まるで、社員の方々がゲームを楽しんでいるような感じがします。会社の命運を分ける数字を皆で見つけ、そこに照準を定め、社員が一丸となって参加できるゲームがつくられているのです。

当然、ゲームを楽しむためには知識がなければなりませんし、必要な情報が提供されなければなりません。この際に、特に有用となる情報は、決算書や財務情報を含めた各種経営情報の数字です。

数字によって、どうしたら協力し合って共通のゴールを目指せるかが明確になり、一人一人の活動を全体の活動に結び付けることができます。このように、数字は共有されてこそ初めて有効な道具となります。

実際に、オープンブック・マネジメントを導入している会社では、全社員に経営情報を伝える「スコアボード」というメディアを利用し、情報共有しています。

いわゆるスポーツの試合の速報値が分かる掲示板で、共有スペースに大きなホワイトボードを置いて開示している会社もあれば、メールで配信している会社もあります。

情報はリアルタイムで、過去数ヶ月の実績だけでなく、向こう数ヶ月の見通しなども開示されます。社員が将来を見越して行動できるような工夫がされているのです。そして、社員は、この数字によって年間目標と現状の差や、四半期のボーナスの有無を自分で計算することができます。

ポイントは、理解が深まるほど、より知的好奇心が増してくるということです。ただ、理解を深めるには、全体を見渡す視野が重要です。個人個人でなくチーム、組織全体で勝利し、自分だけが報酬を受け取るのではなく、全員で報酬を分かち合うのがオープンブック・マネジメントの重要なところです。