小宮一慶&小泉大輔 スペシャルボイス 伸びる会社の共通点-”お客様第一主義”を目的にする

企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、数多くのベストセラーを生み出し、また、年100回以上講演を行う、小宮コンサルタンツ代表の小宮一慶さん。そして、オーナー様の知恵袋となってさまざまな悩みを解決する会計・財務のプロフェッショナル集団であるオーナーズブレイン代表の小泉大輔。

実践的な経営コンサルティングの現場を通じて気づいた“経営の本質”である“お客様第一主義”について対談が実現しました。

小泉:小宮コンサルタンツさんの経営基礎講座でも講師をさせていただく機会をいただいて3年になります。本当にありがとうございます。小宮さんと初めてお会いさせていただいたのが、2009年。小宮さんが主催されている、経営コンサルタント養成講座で、約1年間勉強させていただいたのがきっかけです。その節は、本当に、お世話になりました。

小宮さん:お疲れ様でした。小泉さんは、講座を通じて、どんなことに気づきました?

小泉:大きな気づきとなったのは、“経営の本質”についてです。“経営には、成功モデルがあるのではなく、本質があるだけ”。その本質とは、“お客様第一主義を徹底する”こと。そしてそれには、経営者の姿勢が大事だということに気づきました。

小宮さん:そうですね。経営者の姿勢としては、「正しい努力」を「積み重ねる」ことが大切です。とくに、成功というのは、紙一重の0.1ミリぐらいのほんとちょっとした差。でも、それが、100枚重なると、凄く厚くなる。正しい努力の積み重ねをすれば、5年、10年で大きな差になります。

小宮一慶さんイメージ
小泉:「正しい努力」という点では、日々、①世の中の動きを読むこと、そして、②お客様の動向を把握することの大事さに痛感しています。

小宮さん:経営の神様でもあるドラッカーは、経営戦略について、マーケティングとイノベーションが大事だとおっしゃっていますが、これはまさに、Quality(質)とPrice(価格)Service(サービス)で「他社との違い」を短期的にも長期的にもつくるということです。そこで一番大事になっていくことは、方向付けです。
それには、短期的、中長期的に経済(世の中)がどう動くかを知るかを読むことです。そして、供給過剰の時代、時々刻々とお客様のQPSが変わる中で、本当にお客様の気持ちになって、ライバルがQPSをどう変えているか常に把握することです。当たり前のことを多くの人は、適当にやってしまっています。
小泉“当たり前のことをばかになってちゃんとやる“ってことですね。

小宮さん:小泉さんのオーナーズブレインでは今は、どんなことに取り組んでいるんですか?

小泉:当社は、お客様の成長をお手伝いする会計・財務の専門家集団であり、目指すのは、社名にあるように、オーナー様のブレイン、知恵袋になることです。ハリウッド映画のトム・クルーズが主演する「ミッション・インポッシブル」のように、すばらしい知恵、知識を持った一人一人のプロフェッショナルがドリームチームを結成し、不可能を可能にしていくドリームチームを目指しております。
もともとは、中小企業の経営者の会計・財務のお悩みを解決するご支援、その中でも特に、株式上場(IPO)のコンサルティングに力をいれていたのですが、最近は、「今はよいけど、将来が不安だ。だから、今のうちに、できる手を打っておきたい。」「今よりも、会社をもっと成長させたい。」など様々なご相談が多くなってきております。
経営者は、何か相談事があると、会計、税務の分野は、顧問税理士さん、法律の分野は弁護士さん、労務に関しては、社労士さんに問い合わせることが多いかと思います。でも、会計、税務、財務、法律、労務などが絡む相談事だと、それぞれの専門家に相談しなければなりませんし、また、最終的にどのように判断していいか困ることが多いと思います。また、問題によっては、だれに相談していいかわからないようなこともあるかと思います。そんな場合に、オーナーズブレインは、そのような問題の窓口に立って、会計、税務、財務、法律、労務などの問題にワンストップで解決するオーナーの知恵袋としてご支援しております。
たとえば、例を挙げると、事業承継の一つの手法であるMBO(マネジメント・バイ・アウト)の実行にあたっては、種類株式を上手に活用することで、社長個人の資金負担がそれほど発生しない仕組みづくりに知恵を絞ったり、また、アジア進出にあたっては、会社設立からネットワークのご紹介等のご支援や、今後の震災対応に向けた、BCP(事業継続計画)の策定のご支援などのお手伝いもさせていただいております。特に、最近では、会社の業績向上のための組織づくりのお手伝いもさせていただいております。現場にどっぷり入り込み、幹部社員と一緒になって、社員の方々がイキイキと働くための組織づくりのご支援です。

小宮さん:いろいろなことに取り組まれてますね。では、社員がイキイキと働くための組織づくりのポイントは、どこにあると思いますか?
小泉大輔 イメージ
小泉:社員の方々がイキイキと働く組織・・・経営者の方々が目指されるのは全社一丸となって同じ目標に向かう最高のチーム、オリンピックでいう、金メダルチームだと思っています。成果を上げることももちろん重要ですが、まずはこのスタート地点に立たなければ成果も望めないと思ってます。そしてこのスタート地点に立つために必要なのがやはり経営者と社員が“本音で分かりあう”ことであり、そのための場を提供したり、空気を演出することがオーナーズブレインの役割だと実感しています。
でも、実際、この“本音で分かりあう”ことは、とても大事なことだと、頭では理解しても、なかなか、そこまでできていない会社が多いのが事実です。原因はいろいろありますが、やはり一番の原因は経営者と社員という立場の違いが仕事に対する考え方や姿勢の違いとなって現れてくる事ではないでしょうか。
そこで、この違いを理解したうえで、この違いを橋渡しすることが、社員の方々がイキイキと働く組織づくりのためには必要なことだと思っております。その中で、弊社が大事にしている取組みは、理念、ビジョンの徹底的な理解と共有です。これは経営者と社員を繋ぐ唯一無二の“橋”だと考えています。
実際のプロジェクトでは、ミーティングを重ねていく中で、社員の方々はご自分の仕事観、人生観にまで立ち返って考えていくことになります。その過程で、時間を掛けながら、自分に何ができるのか、自分の役割は何か、真剣に考え、そして、悩み、今まで本人でも気づかなかった“葛藤”に直面し、最終的には、自分と会社を繋げて価値観を掘り下げていくようになっていきます。
それぞれ社員の方々が、蓋をしてしまって、表に出なくなっていた“本音の悩みや課題”をつかみ、その中で、単なる個人の不満や、愚痴でなく、“会社が抱える課題”となるものを振り分け、適切なタイミングでミーティングの場に、問題提起すること、そして、それが、問題となっている一番大事な根っことなる原因を探ることが、このプロジェクトでとても大事なことだと思っております。
実際に「オーナーズブレインさんだから言いますけど・・・」と本音で相談されることも少なくありません。社員の方々がイキイキと働く組織づくりを通じて、本音の悩みを打ち明ける“相談相手”としてオーナーズブレインがお役に立てていることはとてもうれしいです。

小宮さん:お客様第一主義として、実践していることはどんなことですか?

小泉:当社の行動規範として、18項目からなる、クレドカードがあります。このクレドカードは、起業して3年目に、社員全員と毎週ミーティング重ね、6か月間かけて、出来上がったものです。ミーティングを通じて、うまくいっている経営者の記事を毎週読み、共通点を探って、社員との分かち合いを繰り返しました。
たとえば、当社のクレドカードの18番目の「サプライズと感動」
常にクライアントに対してサプライズを起こし、感動を与える提案を考え続けます。どうすれば、自分にとってかけがえのない人に満足や感動を自分の手で与えられるかを常に考え行動します。」
当社のお客様第一主義の実践は、まさに、この“クレドカード”に魂を入れることです。クレドカードの実践にあたって、小宮さんがよくお話される「一人前でなく、一流を目指す」、「GOODでなく、GREAT」を大切にして日々研鑽しております。

小宮さん:ビジネスの世界は、弱肉強食ではなく、優勝劣敗です。ライバルよりもより良いものを作る。これが本当の意味での社会貢献。辛い時に卑屈にならずに、ちょっとうまくいったぐらいで満足しない。満足してしまうのは、志が低いから。だからこそ、いい仕事を目指すことが大切なのです。

小泉:いい仕事を定義すると、どういうことになりますでしょうか。

小宮さん:いい仕事とは、”お客様が喜ぶこと”そして、”工夫”することです。それは、まさに、一つ一つの仕事でベストを尽くすことです。

小泉:当社では、起業時に決意した、お客様を恋人、家族と思って対応することをポリシーとしております。そのために、自分をさらに磨き、そこそこで満足せず、際立ったレベルまで基準を高めることが必要だと思っております。 お客様から愛され、お客様の感動分岐点を越えるサービスを提供する。そのためには、お客様第一主義を、深く理解し、本気になって、実践する、それには、クレドカードを通じた、一人一人の心構えが大切だと思っております。本日はありがとうございました。

小宮一慶 プロフィール
株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役。
京都大学法学部卒業、米国ダートマス大学経営大学院留学(MBA)、東京銀行、岡本アソシエイツ、日本福祉サービス(現、セントケア)を経て独立し現職。企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年100回以上講演を行う。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(ディスカヴァー・トウゥンティワン)など著書多数。セミナー等の情報は、http://www.komcon.co.jp/にて案内しています。